この世界の秘密をあなたに教えたい――。
わたしはこのホテルの、たったひとりの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つのだ。
AI〈やつら〉に侵食された世界で、夫とともに職を失ったわたし――の前にもうひとつの現実がたち顕れた。三十余年良い子で大人になったわたしは、これまでと変わらずに、懸命にひたむきに役割をこなしていく。
感謝されず、褒められもしない。それこそまるで「 」みたいに?
一気読み必至の圧倒的虚構世界〈リアルライフ〉。
小砂川チト(こさがわ ちと)
1990年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院社会学研究科心理学専攻修了。2022年「家庭用安心坑夫」で第65回群像新人文学賞を受賞しデビュー。
〈作品〉
「家庭用安心坑夫」第167回芥川賞候補
「猿の戴冠式」第170回芥川賞候補、第37回三島由紀夫賞候補、第46回野間文芸新人賞候補
うずくまって生きてきた痘痕の娘。圏外を彷徨う女たちを率いて、江戸に「夢の国」をつくる。
利発だが酷い痘痕の姉ふゆ。逆上せ癖で縹緻よしの妹りよ。幼くして父を亡くし、ふゆは手習師匠の手伝いに、りよは船宿の下女奉公に出された。師匠の養子で禍々しいほどに歪んだ性癖をもつ宗三郎から手籠めにされたふゆは懐妊するが、現人神と崇められる女医者と出逢い、彼女の人生は大きく変わっていく。
自我に目覚めた主人公が、女の生と向き合う、時代小説の新しい扉!
朝倉かすみ(あさくら かすみ)
1960年生まれ。北海道武蔵女子短期大学卒。2003年、「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞を、04年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞を受賞。05 年、両作品を収録した『肝、焼ける』でデビュー。
〈作品〉
『田村はまだか』第30回吉川英治文学新人賞受賞
『満潮』第30回山本周五郎賞候補
『平場の月』第32 回山本周五郎賞受賞、第161 回直木賞候補
『よむよむかたる』第172回直木賞候補
「私がこれまで何も選ばずにいようとしていたのは、選んだその瞬間に過去を罰せられる気がして怖かったからだ」
奔放に生きてきた私の身体に突然つきつけられた衝撃。採取された血を取り戻しに、ビジュー付きのサンダルで病院へと向かう私の中に、過去のさまざまな行いがよみがえる。
圧倒的な「罪と罰」の物語。
〈著者紹介〉
1983年生まれ。2007年慶應義塾大学環境情報学部卒業。09年東京大学大学院学際情報学府社会情報学修士課程修了。09~14年日本経済新聞社勤務、以後執筆活動に入る。
〈作品〉
「ギフテッド」第167回芥川賞候補
「グレイスレス」第168回芥川賞候補
『YUKARI』第37回三島由紀夫賞候補
など
爛尾楼(ランウェイロゥ)/廃墟マンションを美術館にせよ!
美術館設計は建築家の夢。師の願いを叶えるべく、助手のレンは住民の立ち退きに奔走する。資本家令嬢Qと未完成の建物を買った人民の欲望は交差し、ドラマは思わぬ方向へ転がる。
矛盾だらけの中国大陸に「まごころ」はあるか?
奄美のリゾート開発計画を巡る悲喜劇を描く新潮新人賞受賞作「さびしさは一個の廃墟」併録。
〈著者紹介〉
1994年生まれ。オックスフォード大学(セント・ジョーンズ・カレッジ)卒業。東京大学大学院総合文化研究科在学中。多摩美術大学芸術学科非常勤講師。2024年、「さびしさは一個の廃墟」で第56回新潮新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉
(翻訳)國分功一郎著『ドゥルーズの哲学原理』
「さびしさは一個の廃墟」
京都にある味噌製造会社につとめるわたし。ある冬の寒い朝、出勤すると社内のあちこちでささやかされる噂にになつかしい名前を聞く。
「亡くならはってん、黒野田さん」
かつてわたしが心のなかでこっそり「ソリティアおじさん」呼ばわりしていた人が死んだ。
「火事やってんて」
ひょんなことからソリティアおじさんの通夜に参列したわたしは、ずるずると交際の続く恋人、将来の見通しのたたない仕事、それぞれに踏ん切りをつけるためある決断を下す。
軽妙な京都弁で女性の内面を鮮やかに描き、誰にでもある変わらぬ日常におとずれる些細な変化こそが、人生の行き先を変える様を控えめに、けれど確かに物語る胸に染み入る傑作小説。
ソリティアのように無数の選択肢がある人生で、わたしが選んだ次の一手。クリアとなるか、手詰まりか。
〈著者紹介〉
1979年生まれ。九州大学文学部卒業。2026年「ソリティアおじさんがいた頃」で第131回文學界新人賞を受賞しデビュー。
眠りは突然奪われた。
仕事のチャット通知に追い立てられ、自分を失った「わたし」。
ウェルビーイングを強要する会社、丁寧な暮らしを推奨する夫、怪しげなeラーニング講師。安眠のために奔走するうち、いつしか不思議な世界に迷い込んで──。
ポジティブ至上主義の現代社会に反逆する、"不眠"アドベンチャー長篇!
〈著者紹介〉
1988年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。2020年「空芯手帳」で第36回太宰治賞を受賞しデビュー。同作は26の国・地域での翻訳が進み、英訳版の"Diary of a Void"はニューヨーク・タイムズやニューヨーカーが書評を載せ、ニューヨーク公共図書館が「今年の収穫」として取り上げるなど評価を得る。
〈作品〉
『空芯手帳』2020年「太宰治賞2020」所収
『休館日の彼女たち』第12回河合隼雄物語賞受賞
『喋る猫はいなくても』
全盲の天才学者が感じたのは、絶望か希望か。俊英の新境地にして大本命!
江戸時代の全盲の国学者・塙保己一。幼少期に失明するも、学問を志し、やがて国内最大の叢書『群書類従』の編纂という、前代未聞の大事業に取り掛かる。類稀なる記憶力で、学者として輝かしい経歴を築いていく保己一だったが、その傍らに常にあったのは、晴眼者――妻、学者仲間、弟子らとの、すれ違いだった。
"天才・塙保己一"の胸中にあったのは、絶望か希望か、それとも――。
〈著者紹介〉
1992年生まれ。早稲田大学文学部演劇映像コース卒。2020年『化け者心中』で第11回小説野性時代新人賞を受賞。同年、同作品でデビュー。
〈作品〉
『化け者心中』第11回小説野性時代新人賞受賞、第10回日本歴史時代作家協会賞新人賞受賞、第27回中山義秀文学賞受賞
『おんなの女房』第44回吉川英治文学新人賞受賞、第10回野村胡堂文学賞受賞、第13回山田風太郎賞候補
『万両役者の扇』第15回山田風太郎賞受賞
一緒に生きる。わかりあえないあなたと。
一番近くにいる他人-こいびと-。どうして結婚はこんなに難しくなってしまったのだろう。『流浪の月』『汝、星のごとく』で二度の本屋大賞を受賞した著者が描く、今そこにある愛のかたち。
セクシュアリティ/ジェンダー、金銭感覚、世代間格差、成育環境......あらゆる価値観の対立の中で現代を生きるわたしたちの祈りと叫び。
〈著者紹介〉
2007年に初著書が刊行され本格的にデビュー。BLジャンルでの代表作に連続TVドラマ化や映画化された「美しい彼」シリーズなど多数。20年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は22年5月に実写映画が公開された。22年刊行の『汝、星のごとく』にて、自身2度目となる本屋大賞を受賞。同書は26年10月に実写映画が公開される。
〈作品〉
『流浪の月』第17回本屋大賞受賞、第41回吉川英治文学新人賞候補
『わたしの美しい庭』第11回山田風太郎賞候補
『滅びの前のシャングリラ』第18回本屋大賞7位、キノベス!2021 第1位
『汝、星のごとく』第168回直木賞候補、第20回本屋大賞受賞、第10回高校生直木賞受賞、第44回吉川英治文学新人賞候補、キノベス!2023第1位など
『三千円の使いかた』の著者が贈る、ちょっぴりほろ苦く、じんわり心に沁みこむ「暮らし」をめぐる物語。
2人の子供が巣立ち、定年を迎えた夫は長年望んでいた仕事のため海外へ。広い家にひとり残された主婦は、15年前、越してきた日に購入を諦めたステンレス製の両開き大型冷蔵庫を迎え入れるべく、家電量販店を目指す。今度こそ、自分が本当に欲しい冷蔵庫を手に入れるため......。(ままならないキッチン、ままならない人生)
昔から「内藤」と「鈴木」姓の人間しか住まず、たがいに反目し合い、口すら利かない風習の島に嫁いだ女性を待ち受けていた運命は?(冷凍庫冷蔵庫合わせて五台)
食べ盛りで生意気な4人の子供を育てるシングルマザーの台所には、常に油をなみなみ張った中華鍋が鎮座している。(毎日、揚げもの)
世代も境遇もバラバラの5人の女性たちの前には、30分の深夜ドラマ「台所のあるところ」があった。
〈著者紹介〉
1970年生まれ。大妻女子大学卒。2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞。翌年、同作品を収録した『はじまらないティータイム』でデビュー。
〈作品〉
『東京ロンダリング』
『母親ウエスタン』
『ランチ酒』
『三千円の使いかた』第4回宮崎本大賞受賞
『一橋桐子(76)の犯罪日記』
『古本食堂』
『図書館のお夜食』
『定食屋「雑」』『月収』
人にぶつかっていないと、自分が生きているかどうかよくわからなくなる――
総大三高の「アリ」こと中村昴が所属するアメフト部は、万年2回戦どまり。相手校の練習を隠し撮りして迎えた高3の引退大会では、強豪・遼西学園に打ち破れた。引退後、みなが受験に向かうなか、勉強にも気持ちが入らず、不良になる覚悟もないまま宙ぶらりんの日々を過ごす。自分自身の不甲斐なさにもがき続けるなかで、アリは再びアメフトと向き合う決意を固める。
青春の苦みと悦びに満ちた、著者渾身の初小説。
〈著者紹介〉
1978年生まれ。お笑いコンビ・オードリーのツッコミ担当。テレビ・ラジオなど活躍の場を広げ、2024年には「オードリーのオールナイトニッポン」15周年を記念した東京ドームライブで16万人を動員。13年に初めてのエッセイ集『社会人大学人見知り学部 卒業見込』を刊行。
〈作品〉
『社会人大学人見知り学部 卒業見込』
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』第3回斎藤茂太賞受賞
『ナナメの夕暮れ』