

鳥山まこと
講談社/2,090円(税込)
ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。
青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。
〈著者紹介〉
1992年生まれ。京都府立大学卒業、九州大学大学院修士課程修了。2023年「あるもの」で第29回三田文學新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉
「あるもの」
「欲求アレルギー」
「アウトライン」
「辿る街の青い模様」
『時の家』

畠山丑雄
新潮社/1,870円(税込)
2026年1月14日発売
聞いて欲しい人が一人おるんです。
大阪府茨木市で自暴自棄の荒んだ暮らしをしていた早野ひかるは、ある夜「先生」に出会い、銅鐸作りと、茨木の来歴を学ぶようになる。
ここではかつて罌粟栽培と阿片製造が盛んで、満州に渡って「陛下への花束」を編み、紀元2600年記念万博を楽しみにしていた青年がいた。
満州から令和の関西万博へ。
いつしか令和と昭和がつながり、封印されていた叫びが溢れ出す。
「政と聖」(まつりごと)を描く野心作。
〈著者紹介〉
1992年生まれ。京都大学文学部卒。2015年「地の底の記憶」で第52回文藝賞を受賞してデビュー。
〈作品〉
『地の底の記憶』
『改元』第38回三島由紀夫賞候補
『叫び』

嶋津輝
東京創元社/1,870円(税込)
百年前のわたしたちの物語。
東京・上野の片隅にある、あまり流行っていない「カフェー西行」。そこには、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが......。
『襷がけの二人』で直木賞候補となった著者、待望の最新作!
〈著者紹介〉
1969年生まれ。2016年「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。19年、受賞作を収めた『スナック墓場』でデビュー。
〈作品〉
アンソロジー
「ラインのふたり」
「猫とビデオテープ」
「漂泊の道」
『スナック墓場』(文庫化に際し『駐車場のねこ』に改題)
『襷がけの二人』第170回直木賞候補
『カフェーの帰り道』

久栖博季
文藝春秋
『文學界12月号』掲載
北方領土を指呼にのぞむ土地で育ち、結婚を機に港町・釧路に移り住んだわたしのもとに、アラスカからの豪華客船寄港の報が届く。
立ち寄る人、去る人が交差する霧にけぶる釧路の町で、わたしは過去の痛みに苛まれる。
アイヌの血を引く夫の不在、かつてロシア船に拿捕された漁師だった父の背中、灰色の海の彼方にたたずむ光を失った灯台――。
戦後の歴史と民族の記憶が北の大地に残した微かで確かな航路を辿る。
〈著者紹介〉
1987年生まれ。弘前大学人文学部卒。2021年「彫刻の感想」で第53回新潮新人賞を受賞してデビュー。
〈作品〉
「彫刻の感想」
『ウミガメを砕く』第37回三島由紀夫賞候補
「貝殻航路」

坂崎かおる
文藝春秋
『文學界10月号』掲載
発達障害をもつ息子・夏秋、「人形」になってしまった妻・那津と暮らす「あなた」の日々の悩みと喜びを、「僕」はずっと見ていた。夏秋が少年野球を通じて親友と出会い成長する過程も、彼の逃避行にうろたえた日も----。
親と子のかけがえのない日々が驚くべき視点から描かれる、人生の熱を伝える物語。
〈著者紹介〉
1984年生まれ。2020年に「リモート」で第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞。
〈作品〉
「ベルを鳴らして」第77回日本推理作家協会賞短編部門受賞
『嘘つき姫』
『海岸通り』第171回芥川賞候補
『箱庭クロニクル』第46回吉川英治文学新人賞受賞
「へび」
薄霧のたちこめる宅配所。粛々とはたらく作業員たちのあいだで、レーンに流れてくる無数の荷物を仕分ける安(あん)。一日中ほどんど誰とも口をきかず、箱の中身を妄想することで単調な労働をやり過ごすうちに、箱の中身と妄想の「答え合わせ」をしたいという欲望が安を蝕んでいく。
あるとき思いもよらない理由から、決して開けることの許されない箱の中身を覗きみることに成功すると、たしかにあったはずの箱が次々と消えていくようになって――。
倦怠と衝動を描きだすベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞作。
〈著者紹介〉
1999年生まれ。2025年「BOXBOXBOXBOX」で第62回文藝賞を受賞しデビュー。
〈作品〉
『BOXBOXBOXBOX』
主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。前職を辞めた理由は、あこがれの男性社員と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。
私はアセクシャルなのだろうか?自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す──。
なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。
〈著者紹介〉
1987年生まれ。宮城学院女子大学卒。2015年「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞。翌年、同作品でデビュー。
〈作品〉
『ラメルノエリキサ』
『地下にうごめく星』
『カラスは言った』第4回ほんタメ文学賞あかりん部門大賞受賞
『私雨邸の殺人に関する各人の視点』
『女王様の電話番』
命がけの修行を成し遂げ、大阿闍梨となり、自らの存在を証し立てよ――。
玉照院の師弟は"やんごとなき秘密"を抱えていた。出生の秘密ゆえ、叡山に閉じ込められ、それでいて死ぬことも許されない立場の恃照と戒閻。
天明飢饉の傷痕いまだ癒えぬ比叡山延暦寺にて、失敗すれば死といわれる〈千日回峰行〉に挑むふたりの闘いは、やがて業火となり叡山を飲み込んでいく。
異様なエネルギーが満ち溢れる、感動の歴史小説!
〈著者紹介〉
1983年生まれ。2025年、「白鷺立つ」で第32回松本清張賞を受賞。同年、同作でデビュー。
〈作品〉
『白鷺立つ』
昭和18年。「神都」と称される伊勢で、弁護士の吾妻太一は苦悩していた。官憲による人権侵害がはびこり、司法は死んだも同然。弁護士は正業にあらずと、子どもたちにさえ蔑まれていた。だが、一人の少女・波子との出会いが、吾妻の運命を変える。彼女の父は、一家惨殺事件で死刑判決を受けた囚人だった。
再審の「開かずの扉」が生む不条理。抗う者たちの魂の人間ドラマ。
〈著者紹介〉
1974年生まれ。2009年「ディオニス死すべし」で第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞。同年、本作品を改題した『雪冤』でデビュー。
〈作品〉
『完全無罪』
『両刃の斧』
『この歌をあなたへ』
『シリウスの反証』
『闇夜に吠ゆ』
『神都の証人』第16回山田風太郎賞受賞
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃と名乗るその女性の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」......。 彼女を監禁していた夜戸瑠璃子は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾を摑まれることなく、結果的に13人もの変死に関わっていた。
「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!
〈著者紹介〉
1976年生まれ。2012年「ロスト・ケア」で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。13年同作品でミステリー作家としてデビュー。
〈作品〉
『ロスト・ケア』
『絶叫』
『コクーン』
『凍てつく太陽』第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞、第21回大藪春彦賞受賞
『Blue』
『灼熱』第7回渡辺淳一文学賞受賞
『ロング・アフタヌーン』
『鼓動』
『家族』