安堂ホセ/河出書房新社/1,760円
2024年11月1日発売
欲望と監視の恋愛リアリティショー、ここに開幕!
恋愛リアリティショー「DTOPIA」新シリーズの舞台はボラ・ボラ島。ミスユニバースを巡って、世界各国10人の男たちが競い争う。切り貼り、編集されながら、増殖、膨張する楽園の時間。ジェンダー、セクシャリティ、人種、出自に対する暴力、あらゆる欺瞞と印象操作に晒されながら、彼らがたどり着いた先とは――。
すべての固定概念を問い直す、圧倒的傑作!
1994年生まれ。2022年「ジャクソンひとり」で第59回文藝賞を受賞しデビュー。
〈作品〉
「ジャクソンひとり」2022年文藝冬季号=第168回芥川賞候補、単行本は22年河出書房新社刊。「迷彩色の男」23年文藝秋季号=第45回野間文芸新人賞候補、第170回芥川賞候補、単行本は23年河出書房新社刊。「DTOPIA」24年文藝秋季号=第46回野間文芸新人賞候補、単行本は24年河出書房新社刊。
鈴木結生/朝日新聞出版/1,760円
2025年1月15日発売
高明なゲーテ学者・博把統一は、彼の知らないゲーテの名言と出会う。
ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが......。ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!
2001年生まれ。24年、西南学院大学卒。24年「人にはどれほどの本がいるか」で第10回林芙美子文学賞佳作を受賞。
〈作品〉
「人にはどれほどの本がいるか」2024年小説トリッパー春季号。「ゲーテはすべてを言った」24年小説トリッパー秋季号。
伊与原新/新潮社/1,760円
徳島の海辺の小さな町で、ウミガメの卵を孵化させ育てようとする中学生の女の子。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性。
今日も日本のどこかで、大切な何かを受け継ぐ人がいる。
時の流れを見据え、科学だけが気づかせてくれる大切な未来を描く全5篇。
1972年生まれ。神戸大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。博士(理学)。富山大学理学部助教を経て、2010年『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。
〈作品〉
『月まで三キロ』18年新潮社刊=第38回新田次郎文学賞受賞。『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』20年新潮文庫nex刊。『八月の銀の雪』20年新潮社刊=第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補、第18回本屋大賞6位。『オオルリ流星群』22年KADOKAWA刊。『宙わたる教室』23年文藝春秋刊など、著作多数。
竹中優子
新潮社/1,870円
2025年1月15日発売
今日こそ彼らに往復ビンタ。
同僚三人が近頃欠勤を繰り返すのが気に入らない私は、その一人の先輩・下村さんに彼らの三角関係を知らされる。恋人を取られたのに弱っているのか開き直っているのか分からない下村さんの気ままな「ダンス」に翻弄される私は、いったいどうすれば......。
もやもやはびこる職場と私の日々を描きます。
永方佑樹
文藝春秋
『文學界10月号』掲載
〈詩〉をテキストのフォルムとしてだけではなく〈行為〉としてとらえ、水等の自然物やデジタル等を詩的メディアとして使用し、「詩を行為する」表現を国内外で展開(「Dialogue 対話-Voix 聲」:仏ポンピドゥ・センター企画「Jonas Mekas Poetry Day」2024等)。2019年、詩集『不在都市』で第30回歴程新鋭賞受賞。2022年秋、米国国務省教育文化局の助成でインターナショナル・ライティング・プログラム(IWP/アイオワ大学)に参加。2024年、初の中編小説「字滑り」を「文學界」に発表。
乗代雄介
講談社/1,650円
2025年1月16日発売
大事な人が、かつてここにいた――。
実家を出て二年、作家になった二十四五の私は弟の結婚式に参列するため、仙台に向かっている。五年前に亡くなった叔母の痕跡を求めて、往復する時間の先にあるものとは。
喪失を抱えたまま生きていく、祈りの記録。
朝倉かすみ
文藝春秋/1,870円
本を読み、人生を語る。
人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。
小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。今年で20年目を迎える、月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉をひらくために。超高齢読書サークルでは、人の話を聞かないから予定は決まらず、持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。それでも、なぜ老人たちは読書会を目指すのか。
幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説です。
月村了衛
新潮社/2,200円
「闇落ち」なんて、生ぬるい!
日本仏教の最大宗派・燈念寺派。弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄がバブル期の京都で目にしたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員など、古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのは――。
人間の核心に迫る圧巻の社会派巨編。
荻堂顕
KADOKAWA/2,145円
無銘の刀が起こす、悲劇と相克。
土地開発と不動産事業で成り上がった昭和の旧華族、烏丸家。嫡男の治道は、東京の景観を変えていく家業に興味が持てず、祖父所有の宝刀「無銘」の美しさに幼いころから魅せられていた。家に伝わる宝を守り、文化に関わる仕事を志すものの、祖父の死後、事業を推し進める父により「無銘」が人の手に渡ってしまう。刀を取り戻すため、治道は無謀な計画を実行に移す。
刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く美と血のノワール。
木下昌輝
徳間書店/2,200円
江戸時代に起こった徳島県蜂須賀藩のお家騒動の真相とは......。
三十万両もの借財を抱える徳島藩を二分する家臣団の対立が勃発。新藩主として蜂須賀重喜を迎え、気鋭の中老たちは藩政改革と藍玉の流通を取り戻そうと闘い始めた。ところが、新藩主はあまりにも斬新な改革案を打ち出し......。特産品の「藍」は借財に苦しむ藩を救うのか?
藩主と家臣団の奮闘を描く、痛快歴史エンタテインメント!