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第15回PUSH!1st.「告解者」

2024.03.01
Push!1st.

罪と贖罪。償いと赦し。
現代社会の闇を深くえぐる――。

告解者

大門剛明/中央公論新社/792円(税込)

あなたは、罪を償ったのですか――? 二十三年前に二人を殺害し、無期懲役判決を受けた久保島健悟。仮釈放を許された彼は、深津さくらの勤める更生保護施設に入寮する。過去に凶悪事件を起こしたとは思えない久保島の誠実な人柄に、さくらは次第に心惹かれていく。そんな折、新たな殺人事件が発生し、保護施設の寮生たちが疑われる事態に。やがて警察の捜査の目は、久保島へと向けられていく......。彼が、また罪を犯したのだろうか? 告解室で明かされる、衝撃の真実とは! 犯罪者の更生と償いをめぐる、感動の社会派ミステリー。

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中央公論新社 文芸局第二編集部/金森航平さんのコメント

「うわー、今まで読んでなかったの、完全に損してた」
本作を読み終えた後、私は茫然としながらそう呟いたのを憶えています。
大門剛明さんの作品を、読んだことはおありでしょうか? 恥ずかしながら私は入社一年目のときに、まだ単行本だった本作を手に取ったのが初めてでした。学生時代には、それなりに本を読んできたつもりでいたのですが、そんな私の鼻っ柱を、この作品は一撃で粉々にしていきました。それほどまでに鮮烈で、衝撃的な一冊です。
 
舞台は石川県にある小さな町。更正保護施設(少年院や刑務所を出た人が生活する施設)に、過去に強盗殺人を犯した男・久保島が入所することになります。自らの欲のために人を殺したとは思えない彼の誠実さに、主人公のさくらは惹かれていきます。やがてさくらだけではなく、他の職員や寮生たち、久保島が殺した男の遺族までもが、彼を慕うように。しかしそんな中、町内で殺人事件が発生。疑いの目は寮生たち、そして久保島にも向いていきます。ここまで読んだ方は「こんな誠実な人が、また人を殺すわけがない!」と叫びたくなるでしょう。ですがその完璧なまでの人柄が、逆に怪しくも思えてくるのです......。
「人は本当に更正することができるのか」。これが、この作品を通したテーマです。そして読者は「更正したはずの人を本当に信じることができるのか」ということを、久保島という存在を通じて、試されることになります。
クライマックスに告解室(罪を懺悔する小さな部屋)で語られるのは、あまりに衝撃的な事実。久保島を信じ抜くさくらを待ち受けるのは、絶望か、希望か――きっと驚愕します!
 
WOWOWで連続ドラマ化した『テミスの求刑』をはじめ、『雪冤』、『レアケース』など映像化作品が相次ぐ社会派ミステリの名手・大門剛明さん。
まだ読んでいない方は、もしかしたら損をしているかも......? 
驚愕必至の大門ワールドの入口に、ぜひ本書を!

著者来歴

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した『雪冤』で2009年デビュー。近著に「『テミスの求刑』(中央公論新社)、『不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳』(PHP研究所)などがある。

〈開催期間:2017年1月1日(元日)~ 2月11日(土)〉
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