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第18回PUSH!1st.「片桐酒店の副業」

2024.03.01
Push!1st.

無理難題の配達に真摯に向き合う主人公が抱く想いの真相とは......。
謎解きのドキドキ感と心温まるエピソードがギュッと詰まった連作短篇の妙味を味わいください。

片桐酒店の副業

徳永圭/KADOKAWA/748円(税込)

法に触れない限り、何でもお届けします――。とある地方の商店街の一角に佇む古びた酒店。二代目店主の片桐章は、本業のかたわら、宅配を副業としていた。片桐のもとには厄介な依頼が舞い込んでくる。アイドルに差し入れを、いじめる上司に悪意を、そして未来の自分に届け物を。無理難題にも真摯に対応していく片桐だったが、彼もまた心に大きな忘れ物を抱えていた。なぜ酒店の店主が毎日黒いスーツで黙々と働いているのか? その秘密は彼の隠された過去にあった――。

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著者/徳永圭さんのコメント

このたびは「PUSH!1st.」に拙著を選んでいただき、誠にありがとうございました!
この『片桐酒店の副業』を書き始めたのは、まだ作家デビューが決まる前のことでした。別の作品を新人賞へ投稿したものの、まさか一度で受賞できるとは思っておらず、すぐにこの話に着手していたのです。幸いにもデビュー後、そのまま書き続けさせてもらえ、徳永圭の二作目として世に出すことができました。
デビュー前と後にまたがって執筆した作品として、私の中でも、とても思い入れのある作品です。
とりわけ強く印象に残っているのは、単行本刊行時に版元が作ってくれた、書店設置用のフリーペーパーでした。書店員さんにあらかじめ作品を読んでもらい、コメントをもらったのですが、そのどのコメントからも「この新人を応援しよう!」というあたたかさが伝わってきました。実際、刊行後に御礼を申し上げるためお店にお邪魔したときも、皆さん、まだ実績も何もない新人をにこやかに迎えてくださいました。 ――書店員さんって、こんなにあったかいんだ。
一読者だったころには、知る機会もなかったことです。本当に胸がいっぱいになりました。
おかげさまで本作品は、2016年春に文庫化されました。発売から一年以上が経つにもかかわらず、今回「PUSH!1st.」に選んでいただけたこと、ふたたび書店員さんの力で作品と読者をつないでもらえること。 本当に光栄で、嬉しく思います。読者の方はもちろんのこと、多くの人に支えてもらって今があるのだと、この作品にはたえず教えられている気がします。
さて、この物語の舞台である小さな酒店は、ある"副業"をしています。
「法に触れない限り、なんでもお届けします」――それがその副業なのですが、人から人へと送られる荷物には、さまざまな想いがこもっています。
何でも届けてくれる宅配便。
あなたなら誰に、何を届けたいですか?
私からあなたに、この物語が届くことを願っています!

著者来歴

1982年愛知県生まれ。京都大学総合人間学部卒業。2011年『をとめ模様、スパイ日和』で第12回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。二作目の長編『片桐酒店の副業』は多くの書店員の応援を受け話題となる。その他の著書に『その名もエスペランサ』『XY』などがある。

〈開催期間:2018年1月1日(元日)~ 2月11日(日)〉
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