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第23回PUSH!1st.「ミッドナイト・バス」

2024.03.01
Push!1st.

長い夜を抜けて、想いはここに集まる。それが家族なんだ。
新たな一歩を踏み出させてくれる感動作。

ミッドナイト・バス

伊吹有喜/文藝春秋/968円(税込)

壊れた「家族」という時計は再び動き出すのか?
東京での仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。ある夜、バスに乗ってきたのは、16年前に別れた妻だった――。会社を辞めた長男、結婚と夢の間で揺れる長女、再婚した夫の浮気と一人暮らしの父の介護で悩む元妻、そして、利一も、若い恋人との結婚に踏み出せずにいる......人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。
家族の崩壊で、一度止まった時を、それぞれが進めることができるのか......。家族の再出発とさまざまな人生を丁寧な筆致で描いた感動長篇。

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著者/伊吹有喜さんのコメント

このたびは「PUSH! 1st.」に選出していただき、ありがとうございます。
ブックファーストにお越しの多くのお客様と出会えますこと、とてもうれしいです。
「ミッドナイト・バス」は高速路線バスの深夜便を担当する運転士、高宮利一と彼の家族の物語を軸に、利一が運転するバスの乗客の物語が交差する作品です。
登場する乗客は身内の介護や旅行、仕事、大切な人に会いにいったり、別れたりと、さまざまな事情を抱えて地方から東京へ、あるいは東京から地方へ向かいます。
舞台になるのはおいしいお米とお酒がある新潟市と、その近郊にあるという設定の「美越」。
東京と新潟を結ぶ路線の物語ですが、大都市にお住まいの方、そして長距離バスの深夜便がある町とご縁がある方にとって、身近で共通する事情があると思います。
この深夜高速バスの利点はリーズナブルに移動ができること、そして夜明けとともに目的地に到着できること。夜を徹して走ることで浮いた時間と旅費を目的地にいる大切な人や、情熱を傾けるもののために注いで、人生を前に進めていけるのです。
年齢も環境もまるで違う人たちがほんの数時間、一台のバスに乗り合わせ、それぞれの「夜」を越えていく――。
この作品は乗客だけではなく、作者の私もさまざまなところへ運び、多くの方々とめぐりあわせてくれました。私もまた、利一のバスの乗客の一人という気がします。
夜明けに向かって走っていく人たちの物語「ミッドナイト・バス」。
よかったらぜひ、お手にとってみてください。

著者来歴

  • 撮影:下林彩子

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。2008年『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」より改題)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、デビュー。『四十九日のレシピ』は、11年にドラマ化、13年に映画化された。本作『ミッドナイト・バス』は第27回山本周五郎賞、第151回直木賞の候補作となり、18年に映画化。『彼方の友へ』は第158回直木賞、第39回吉川英治新人文学賞の候補となる。他の著書に『カンパニー』、『BAR追分』シリーズなどがある。

〈開催期間:2019年8月30日(金)~ 10月10日(木)〉
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