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第29回PUSH!1st.「だからあなたは殺される」

2024.03.01
Push!1st.

―自分らしく生きることの罪深さ
あなたはこのラストをどう感じますか。

だからあなたは殺される

水生大海(みずき ひろみ)/光文社/902円(税込)

兄の名前は汐崎正義、妹の名前は持田優羽。とある事情から苗字の違う兄妹が同居を始めたちょうどその頃、優羽と同い齢の読者モデル・紫苑が殺される事件が発生。
残虐なこの事件を解決すれば昇進できるとあり、兄の正義は一心不乱に捜査を進める。一方、独自の情報網と行動力で妹の優羽は兄に協力するが――。二人が辿り着く、驚きの結末とは!?
家族と仕事の在り方を問いかけ、最後まで息が抜けない迫真のミステリー!

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著者/水生大海さんのコメント

このたびは「PUSH!1st」にお選びいただき、ありがとうございます!
しかもこんな不穏なタイトルの本を......、と少々申し訳なく思うのですが、タイトルもまた意図がありまして。
なぜ、この殺人事件が起きたのか。どうしてこの人が被害者になってしまったのか。どんなわけがあって加害者は罪を犯したのか。
ミステリを謳う小説はたいてい、それらの謎を楽しんでいただくものですが、あえて申しあげます。
この小説は、その「なぜ」を、一度お読みいただいたあとで、再び問いかける物語になっています。
第一の被害者は読者モデルの高校生、十七歳。裕福な家庭に育ち、良家の子女が集う私立の女子校に通い、恵まれた容姿を持っていました。そんな少女が無残な遺体となって発見されます。
事件の謎を解かんとする若手刑事には、被害者の高校生と同じ年の妹がいました。手柄を上げようと奮闘する兄と、彼を手助けする妹、さらにもうひとりの少女が関わり、事件の裏側が徐々に見えてきます。
見えてくるのは事件の裏側だけではありません。被害者の、加害者の、関わる人々それぞれの裏の顔が、無意識下の思いが、物語が進むにつれて現れてきます。
「だから」とはなんだったのか。「あなた」とは誰だったのか。事件の解決後、ぜひとも冒頭まで戻ってください。新たな情景が浮かびあがってくるでしょう。
もしかしたら、こう行動していれば事件は起こらなかったのかもしれない、そんな分岐点があるかもしれません。
ちょっと癖のある小説が読みたいな、そう思う皆様にぜひ読んでいただきたいです。

著者来歴

三重県生まれ。
2005
年「叶っては、いけない」が第1回チュンソフト小説大賞ミステリー/ホラー部門銅賞受賞(亜鷺一名義)。08年「少女たちの羅針盤」(原題「罪人いずくにか」)で第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞。09年に同作でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補作になる。

〈開催期間:2021年8月27日(金)~ 10月7日(木)〉
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