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第36回PUSH!1st.「わたしの良い子」

2024.03.01
Push!1st.

なんでも平均的な子なんて本当はどこにもいません。
「普通」って良い子?
親子・兄弟・姉妹......あなたにとって良い子って?

わたしの良い子

寺地はるな/中央公論新社/726円(税込)

「どうしてちゃんとできないの? 他の子みたいに」
31歳独身、文具メーカーの経理部に勤める椿は、出奔した妹の子ども・朔と暮らすことに。慣れない子育てなうえ、勉強も運動も苦手で内にこもりがちな朔との毎日は、時に椿を追いつめる。自分が正しいかわからない、自分の意思を押しつけたくもない。そんな中、どこかで朔を「他の子」と比べていることに気づいた椿は......。
大人が言う「良い子」って、何?
『川のほとりに立つ者は』で2023年本屋大賞9位入賞の大注目作家・寺地はるなさんの意欲作!

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著者/寺地はるなさんのコメント

『わたしの良い子』を書きはじめた時、わたしの息子は六歳でした。その頃、「いい子」ってどういう子どものことなのだろう、といつも考えていました。素直でやさしくて、元気いっぱいな子どもだろうか。あるいは、毎日の宿題をちゃんとやり、忘れ物をせずに、先生のお話をちゃんと聞くような、そういう子どものことなのだろうか。でもそれって、大人の都合のいい子なのでは、と。
『わたしの良い子』の朔は小学一年生です。母親ではなく叔母の椿と暮らしています。このふたり、わたしと息子がモデルというわけではまったくありません。むしろ、作者であるこちらが彼らにびっくりさせられたり、笑わせられたりすることの連続でした。気づかされたり、教わったりしたことも、たくさんありました。あらためて思い出してみると、信じられないぐらい幸せな時間だったように感じられます。
 誤解しないでほしいのは、この小説は大人に向かって「子どもを『いい子』の型に押しこもうとしちゃいけないよ!」と戒める本ではまったくない、ということです。わたしたちはみんな、大人も子どもも手探りで生きているようなもの。わからないことがあるのも、うっかり間違えてしまうのも、しかたがないことだと思うのです。

著者来歴

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年に『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞し、デビュー。2020年『夜が暗いとはかぎらない』で第33回山本周五郎賞候補。2021年『水を縫う』で第42回吉川英治文学新人賞候補。同年同作で第9回河合隼雄物語賞受賞。『川のほとりに立つ者は』で2023年本屋大賞9位入賞。
他の作品に『わたしたちに翼はいらない』(新潮社)、『どうしてわたしはあの子じゃないの』(双葉社)、『架空の犬と嘘をつく猫』(中公文庫)などがある。

〈開催期間:2024年1月1日(元日)~ 2月11日(日)〉
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