―自分らしく生きることの罪深さあなたはこのラストをどう感じますか。 水生大海(みずき ひろみ) 著光文社/902円(税込)
三重県生まれ。 2005年「叶っては、いけない」が第1回チュンソフト小説大賞ミステリー/ホラー部門銅賞受賞(亜鷺一名義)。08年「少女たちの羅針盤」(原題「罪人いずくにか」)で第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞。09年に同作でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補作になる。
このたびは「PUSH!1st」にお選びいただき、ありがとうございます! しかもこんな不穏なタイトルの本を……、と少々申し訳なく思うのですが、タイトルもまた意図がありまして。 なぜ、この殺人事件が起きたのか。どうしてこの人が被害者になってしまったのか。どんなわけがあって加害者は罪を犯したのか。 ミステリを謳う小説はたいてい、それらの謎を楽しんでいただくものですが、あえて申しあげます。 この小説は、その「なぜ」を、一度お読みいただいたあとで、再び問いかける物語になっています。 第一の被害者は読者モデルの高校生、十七歳。裕福な家庭に育ち、良家の子女が集う私立の女子校に通い、恵まれた容姿を持っていました。そんな少女が無残な遺体となって発見されます。 事件の謎を解かんとする若手刑事には、被害者の高校生と同じ年の妹がいました。手柄を上げようと奮闘する兄と、彼を手助けする妹、さらにもうひとりの少女が関わり、事件の裏側が徐々に見えてきます。 見えてくるのは事件の裏側だけではありません。被害者の、加害者の、関わる人々それぞれの裏の顔が、無意識下の思いが、物語が進むにつれて現れてきます。 「だから」とはなんだったのか。「あなた」とは誰だったのか。事件の解決後、ぜひとも冒頭まで戻ってください。新たな情景が浮かびあがってくるでしょう。 もしかしたら、こう行動していれば事件は起こらなかったのかもしれない、そんな分岐点があるかもしれません。 ちょっと癖のある小説が読みたいな、そう思う皆様にぜひ読んでいただきたいです。
2021年8月27日(金)~10月7日(木)まで
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【著者】水生大海さんのコメント
このたびは「PUSH!1st」にお選びいただき、ありがとうございます!
しかもこんな不穏なタイトルの本を……、と少々申し訳なく思うのですが、タイトルもまた意図がありまして。
なぜ、この殺人事件が起きたのか。どうしてこの人が被害者になってしまったのか。どんなわけがあって加害者は罪を犯したのか。
ミステリを謳う小説はたいてい、それらの謎を楽しんでいただくものですが、あえて申しあげます。
この小説は、その「なぜ」を、一度お読みいただいたあとで、再び問いかける物語になっています。
第一の被害者は読者モデルの高校生、十七歳。裕福な家庭に育ち、良家の子女が集う私立の女子校に通い、恵まれた容姿を持っていました。そんな少女が無残な遺体となって発見されます。
事件の謎を解かんとする若手刑事には、被害者の高校生と同じ年の妹がいました。手柄を上げようと奮闘する兄と、彼を手助けする妹、さらにもうひとりの少女が関わり、事件の裏側が徐々に見えてきます。
見えてくるのは事件の裏側だけではありません。被害者の、加害者の、関わる人々それぞれの裏の顔が、無意識下の思いが、物語が進むにつれて現れてきます。
「だから」とはなんだったのか。「あなた」とは誰だったのか。事件の解決後、ぜひとも冒頭まで戻ってください。新たな情景が浮かびあがってくるでしょう。
もしかしたら、こう行動していれば事件は起こらなかったのかもしれない、そんな分岐点があるかもしれません。
ちょっと癖のある小説が読みたいな、そう思う皆様にぜひ読んでいただきたいです。