PUSH!1st ブックファーストの一押し本

「デッドマン」

絶対読得宣言!

審理炎上

本格ミステリー × 警察小説
魅惑的な謎と、スピーディーな展開
これぞエンタメ!
河合莞爾 著
KADOKAWA/560円+税

頭部がない死体、胴体がない死体、右手がない死体……。遺体の一部が持ち去られる猟奇殺人事件が6件連続して発生した。捜査が混乱を極める中、ある日、捜査本部に1通のメールが届く。「僕は継ぎ合わされた死体から甦った死人(デッドマン)です。僕たちを殺した犯人を見つけてください――」。鏑木警部補率いるクセ者揃いの「鏑木特捜班」が前代未聞の謎に挑む。綾辻行人氏も感嘆!
度肝を抜く結末が待ち構える、警察小説の新次元! 第32回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

作家河合莞爾さん

<著者来歴>

熊本県出身。東京都在住。早稲田大学法学部卒。2012年『デッドマン』で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。テンポの良いスピーティな展開と登場人物たちのコミカルなやり取りが最大の魅力。他の著書に『デビル・イン・ヘブン』『粗忽長屋の殺人』『救済のゲーム』などがある。「鏑木特捜班」シリーズは、『デッドマン』に続き『ドラゴンフライ』『ダンデライオン』がある。

【著者】河合莞爾さんのコメント

「他の誰かの人生」
河合莞爾
ある朝、あなたが目覚めると、自分が誰なのか全くわかりません。一切の記憶がないのです。隣に一人の女性がいて、「あなたは、六つの死体を繋ぎ合わせてできた人間だ」と言います。そして実際に、身体の一部を切り取られる六つの殺人事件が起きていることがわかります。やがてあなたは決意します。自分たちを殺した犯人を探そうと――。
あくまで私の場合ですが、「小説を書く」という行為は「誰かの人生をでっち上げていく」作業のような気がします。でっち上げる、というとあんまり聞こえがよくありませんが、要するに架空の人物を作り上げて、その人が送った架空の人生を文章にして残していく、ということでしょうか。  だとすれば、あなたが私の小説を読まれるということは、大変お気の毒なことに「作者がでっち上げた、架空の人物の人生を体験する」ということになります。そういうことなら、折角ですから、うんと変わった人生を体験して頂きたい――。そう思って私はこの『デッドマン』を書きました。  私は「僕」という一人称で、主人公デッドマンの思考を描きました。自分が「生き返った死体」である時間を、あなたに体験して欲しかったからです。そしてデッドマンの思考を書く時には、私自身も「死体」になり切る必要がありました。これは私にとって非常に楽しい体験でした。だからあなたにも、きっと楽しんで頂けるのではと思います。 『デッドマン』には、蘇った死体・デッドマンの他にも大勢の人物が登場します。デッドマンを見守る謎の女医・高坂紫音、デッドマンが心惹かれる不思議な少女・谷山志津、六つの殺人事件の犯人を追う刑事・鏑木鉄生警部補、鏑木の上司や仲間の刑事たち、引退した元刑事・中山純平――。誰か一人の人生でも、あなたの心に残れば幸いです。
最後に、あなたにお伺いしてみたいことがあります。
初めて出会った時、一目で恋に落ちた男女がいたとします。その両方が全ての記憶を失くして離れ離れになり、そして長い時間ののちに再び巡り会ったとしたら、この二人はまた恋に落ちるでしょうか――?
『デッドマン』にはいくつかの主題を込めましたが、これが私にとっては最も愛すべきテーマなのです。

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