福井 晴敏 著 講談社/本体 648円 + 税
『川の深さは』は、福井さんが初めて書かれた小説です。 江戸川乱歩賞受賞作や、映画化もされて皆さんご存じの『亡国のイージス』よりもあとに発表されている経緯は、文庫版の解説で触れているのでそちらに譲りますが(豊崎由美サンの解説、心にズドンと残る名解説です!)最初の作品だからというわけではないのでしょうが、わたくしにはよい意味でゴツゴツしていて、読了後、脳内に登場人物たちの言動が残ります。 40代の元暴力団対策の刑事だった主人公が不器用なのに、カッコいいんです。 傷だらけで逃げてきた少年とその少年が守る女性をかくまってから、この元刑事の警備員が決死の選択を迫られ、自嘲気味に語る言葉は、オヤジを意識し始めた男性にはグサリと刺さります。あえて言い切りましょう、この元刑事の言動にグッとこなければ、男である資格はないと。とは言っても、男性向け小説ではありません。守られる女性もゆたかに描写されていて、どの年代の女性にも「あるある」とうなずくことがあると思います。 ネタばらしになってしまうので、すべてをご紹介できないのがもどかしいのですが『川の深さは』というタイトル、読んだあとはだれかに説明したくなりますよ、絶対に。
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『川の深さは』は、福井さんが初めて書かれた小説です。
江戸川乱歩賞受賞作や、映画化もされて皆さんご存じの『亡国のイージス』よりもあとに発表されている経緯は、文庫版の解説で触れているのでそちらに譲りますが(豊崎由美サンの解説、心にズドンと残る名解説です!)最初の作品だからというわけではないのでしょうが、わたくしにはよい意味でゴツゴツしていて、読了後、脳内に登場人物たちの言動が残ります。
40代の元暴力団対策の刑事だった主人公が不器用なのに、カッコいいんです。
傷だらけで逃げてきた少年とその少年が守る女性をかくまってから、この元刑事の警備員が決死の選択を迫られ、自嘲気味に語る言葉は、オヤジを意識し始めた男性にはグサリと刺さります。あえて言い切りましょう、この元刑事の言動にグッとこなければ、男である資格はないと。とは言っても、男性向け小説ではありません。守られる女性もゆたかに描写されていて、どの年代の女性にも「あるある」とうなずくことがあると思います。
ネタばらしになってしまうので、すべてをご紹介できないのがもどかしいのですが『川の深さは』というタイトル、読んだあとはだれかに説明したくなりますよ、絶対に。