PUSH!1st ブックファーストの一押し本

ハルビン・カフェ

「ハルビン・カフェ」打海 文三 著

権力と欲望と愛憎渦巻く圧倒的な人間劇。あなたをカタルシスへと誘う・・・。

打海 文三 著
KADOKAWA/本体 840円 + 税

あらすじ

福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・朝・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部が地下組織をつくり、警官殺しに報復するテロ組織が誕生した。警官の警官による警官のための自警団。彼らは「P」と呼ばれた―。第5回大藪春彦賞を受賞した、著者渾身の最高傑作!

作家 打海 文三さん

1948年生まれ。早稲田大学政経学部卒。 93年、「灰姫 鏡の国のスパイ」が第13回横溝正史賞優秀作となる。翌年発売した「時には懺悔を」が各方面で絶賛される。他の著書に「去れど修羅ゆく君は」「そこの薔薇があった」「苦い娘」「ロビンソンの家」「一九七二年のレイニー・ラウ」「僕が愛したゴウスト」など。2007年10月9日、永眠。

KADOKAWA セールスマーケティング統括本部 佐藤秀樹さんのコメント

  『ハルビン・カフェ』は、第5回大藪春彦賞を受賞し 現代ハードボイルドの理想を実現したと賞賛された傑作です。

近未来の日本の架空都市を舞台に、多視点でいくつものドラマと時代を行き来しながら、ひとりの人物の実像と大きな事件の核心に迫っていきます。
ここで描かれているのは、人間の持つ負の感情―猜疑心・嫉妬心・虚栄心・恐怖心―や、欲望の深さ、 まさに業というべきものです。打海さんは登場人物たちを徹底的に追い詰めることで、同じ過ちを何度も繰り返す、歴史から学ぶことのできない人間の存在そのものを、追及しようとしていたように思います。

障害児の誘拐事件という形をとって・・・書かれた『時には懺悔を』や、内戦状態となった日本で少年少女が生き抜いてく様を描いた『裸者と裸者』から始まる3部作も、打海さんの目線は、常に、すべてを受け入れてどう向き合うか、というもの。すべてを受けいれるということは、すべてを捨てるということでもあり、とても勇気が必要ですが、打海さんは、そういう勇気を作品を通してたくさん教えてくれていたと感じます。

打海さんは、2007年10月に59歳の若さで亡くなられました。
決して多作ではありませんでしたが、『ハルビン・カフェ』だけでなく、遺されたどの作品もお勧めです。機会があればぜひ読んでみてください。

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