2000年12月に刊行されたこの物語を、わたしは、2000年から2001年へと日付が移り変わってまもなく読みはじめました。そして21世紀さいしょの元旦の夕方、呆然としながら読み終えました。それまで読んできたどんな物語とも、どんな小説とも、それは似ていませんでした。ほどなくお会いすることになったいしいさんもまた、それまでお会いしたどんなひととも似ていなかった。ちがう時代に生まれていたら、いしいさんは、町や村をめぐりながら、物語をしてあるくひとになっていたような気がします。現代に生きているいしいさんは、やっぱり、歩く物語のようなひとです。『ぶらんこ乗り』は大きな物語に小さな物語がいっぱいつまったつづらのようなお話。この本を読むことは、生きたことのない世界を実際に生きることに等しい。そういう本です。
(新潮社 出版部/須貝利恵子)
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