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「いなかのせんきょ」: [著者] 藤谷 治さんのコメント  「人間はどこまで耐えられるのか」: [翻訳者]矢羽野 薫さんのコメント  トップへ戻る

「人間はどこまで耐えられるのか」作家:フランセス・アッシュクロフト

フランセス・アッシュクロフト

1952年生まれ。イギリスのオックスフォード大学の生理学部教授で、インスリンの分泌に関する研究の第一人者。ロイヤル・ソサエティーの数少ない女性フェローに名を連ねる。

[翻訳者] 矢羽野 薫さん・・・翻訳家。慶応大卒。
『世界記録はどこまで伸びるのか』等訳書多数。

[翻訳者] 矢羽野 薫さんのコメント

『人間はどこまで耐えられるのか』

人間はどこまで耐えられるのか [著者]フランセス・アッシュクロフト

どうやら私たちは「限界」が好きらしい。「どちらが長く我慢できるか」は子供の遊びの定番だ。マラソンやゴルフをすれば、自己最高という名の限界を知りたくなり、人類最高という名の限界に挑む人々に魅了される。海や山で遭難した人が無事に生還したと聞けば、彼らのサバイバル精神に舌を巻き、自分が過酷な自然に放り出されたらどうなるだろうと想像する。自分には無理だと思うから限界を見てみたいと思い、自分ならどこまで耐えられるかという限界を知りたくなる。

この本は「極限の自然環境で人間はどのように生きのびるのか」に注目し、生理学的なリミットを探る。第1~4章は自然界の極限として、高さ(登山)、深さ(潜水)、暑さ、寒さの限界を追求する。第5~7章は人間という種の極限として、速さ(短距離走と長距離走)、宇宙空間に飛び出した人体の変化、そしてエクストリーム・ファイル(極限微生物)の生態を紹介する。

強靭な精神力や超人的な体力で極限状態を乗り切るサバイバーもいるが、体内の生理現象は基本的に変えられない。しかし何もしなくても、体は自然に調整して順応する。人間の体は驚くほどうまくできているのだ。著者はそんな人間の体の神秘を、身近な例や興味深いエピソードを織り交ぜて描きだす。人間の限界を疑似体験しながら(身につまされながら)、自然の驚異と人間の底力を味わってほしい。
科学者は昔から、人間の限界を解き明かそうと奮闘してきた。実験が必要となれば自ら体を張り、高さや深さ、暑さ、寒さの限界に飛び込む。そして限界を証明できたと思うたびに、常識があっさりくつがえされて新たな限界が生まれる。彼ら科学者のロマンと野心(と挫折)も楽しめる一冊だ。

私たちの血管や心臓でも、科学の世界でも、小説よりはるかにスリリングなドラマが繰り広げられている。

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